世界で一番、ずるい恋。




そんなもの、とっくに逃げてると思う。

いや、きっと私があまりにうじうじしてたから手に入れる前に、見離された。




「一時間目、サボろっかな…」

「……あんた、教科が何か分かって言ってる?」



分かってる。

それを分かった上で言ってるけど昨日のことを知らない陽果には伝わらない。


……やっぱり昨日のこと、後で話しておくべきかな?



でも今はまず迫り来る数学から、先生から、逃げたい。

そしてまだ恋那ちゃんを視界に入れるのが怖くて一度も後ろを振り返れない。


そのせいで彼女の後ろの席の千堂くんにも話しかけられてない。


……あー、やっぱりサボろう。

こんな状況じゃいつも以上に数学なんて頭に入ってこない。


それどころかここにいたら、泣いてしまいそうな気もする。




「おはよ、席につけー」




そう思って席を立つと丁度ドアが開いて先生がやって来た。