「言っておきますけれど、こうして貴方の修行に付き合っているのは円様のためです。
光巫女様の血を引く姫様が、役立たずだと知られれば円様が非難されるんです。そこらを弁えてもらいませんと」

今日の風は随分と饒舌だ。

東峰院家に来た日に一悶着あってから数日間、声を掛けても口も聞いてもらえなかった。

元々、諍いなどは一切忘れる質の菖蒲には理解出来なかったが、風は異常なまでに根に持つタイプらしい。

自分の想い人がいきなり妻だのなんだの言い出したのだから、仕方がないような気もするが・・・

風の咳払いのお陰で、思考の世界から現実の世界へ帰還する。