言われたとおり角を曲がると、一人の人物が札を目の前に翳しながら立っていた。

『オンキリキリウンケンソワカ・・・
我が風 穿つ槍となれ 琥珀っ!』

そう詠唱すると、札が宙を舞い輝くと円陣の中から緑の髪をした人物が現れる。

式神はそのまま跪き、君主に頭(コウベ)を垂れる。

「主よ・・・この屋敷内に気配を感じますが・・・?」

「いい。その女の存在ならわかっている。出て来い、光巫女」

自分の存在に気づかれているなんて思っていなかった菖蒲は、少し驚きながらも円の前に立った。