千影の顔に段々と陰りが出て行くのがわかる。

いつも厳格で、弱々しい祖父の顔など見たことがなかった。

「菖蒲様。貴女は雹零山に向かった際、九尾を再び封印しましたね?」

あの時、確かに九尾と名乗っていた。

けれど、記憶が曖昧で、自分がどうやって封印したのかなんて覚えていない。

「・・・わからない。あの時九尾の瘴気にやられそうになって・・・ でも声が聞こえたの。確か天一って言ってた」

「天一だと・・・」

「天一とは、十二神将が長の名。紛れもない、安倍晴明様と初代 光巫女様・・・
両名が操りし、最強の式神」

”式神”という単語を聞いた途端、心臓がドクンと高鳴った。