「俺たちは立ち止まっている暇はない。急ぐぞ・・・」


菖蒲は後ろ髪引かれる想いがあったが、円の言葉に急かされるようにまた走り出す。



目的は九尾と桜がいるであろう、東峰院家。



目的地にまではあと少しの所まで来ているはずだった。けれども、溢れんばかりの物の怪たちに幾度となく行く手を阻まれる。


物の怪に襲われそうになれば、円が体を張って守ってくれる。



菖蒲自身も出来る限りの力で応戦する。



「ーーっ・・・」


一匹の狐が最後の力を振り絞るように菖蒲に向かってくる。


避ける際に、かすり傷程度なのだが怪我をしてしまう。