海は必ず菖蒲たちの接触するだろう。


 おそらく、九尾の命ではなく桜の命令で動くのだろうから、菖蒲たちを探したほうが早い。


 初めて桜に会ったとき感じた違和感はこれだったのだ。


 瞳には生気が感じられず、桜から感じる波動が、黒だった。


 光巫女の血を引く血族だというのに、そんな事はありえないはずだ。


 それに、菖蒲を見る目がひどく憎しみに駆られていたような気がした。


 菖蒲が東峰院家から離れた後、当然のごとく円の隣にいた桜の表情は、恍惚で幸福そのものだった