「あ、円って・・・ お姉ちゃんの・・・」

東峰院 円という人物は確か、桜の許嫁の名前だったはずだ。

そんな姉は今は不在の時に、自分に何の用なのだろうか?

「そこまでお分かりなら話は早い・・・一度、千影様と共にお話したき儀が御座います」

そう言い終えると、海という青年は君主に仕える騎士の如く一礼する。

なんでだろう?

言っている意味などわかりもしないのに、これから言われるであろうことはなんとなく理解できる自分がいて。

心のどこかで残酷な運命に抗う方法を考えていた。