気づいた時には、目の前の景色が違っていた。


テレビや教科書でしか見たことのないような着物姿の人々や建物、何もかもが自分たちがいた時代の風景ではない。


けれど、何処か懐かしいような。やはり、自分の中に流れる血の記憶なんだろう。


今思えば、初代光巫女は、自分に何かを伝えたかったんじゃないだろうかとさえ思うようになった。


「菖蒲。今見ている風景は紛れもない千年前の風景じゃ。
ワシや、姉上様が生き・・・九尾の狐・・・銀狐に出会った時代」


「あのっ・・・」