息が止まりそうなほどの激痛が菖蒲の体を蝕む。体内から現れたのは紛れもない神具。どうして自分の体の中から神具が現れるのだろう。


薄れていく意識の中で見たものは、海の苦しそうな表情。
激痛がまだ収まらない中、菖蒲は最後の力を振り絞って、海に言葉を投げかける。


「・・・なんでこんなこと・・・裏切ったの・・・?」


「・・・俺は最初から、東峰院に仕えているつもりはなかった。あの日影を唆(そそのか)したのも、柊花をここに連れてきたのも、全て俺がやったこと・・・」


「じゃあ、あたしに優しくしてくれたのも、嘘なの?」


「俺はっ!九尾に魂を売った裏切り者・・・次に会った時は、敵同士です」