こっちを向いて、恋をして。


「もしもし」

その場であたしが電話に出ると、

『あっ、もしもしひかり? もう着いてる?』

弾むような声が聞こえてきた。

いつもより明るい、嬉しそうな声はきっと、直大さんと一緒だから。

「うん、着いてる」

『石丸くんは?』

「一緒にいるよ」

『ありがとう。じゃあ、もうすぐ着くから』


用件だけの、短い通話。

「分かった」と返事して電話を切ると、『何て?』と言わんばかりの顔をして、朝日があたしを見ていたから、

「もう着くって」

さっき聞こうとした言葉を飲み込んで、そのまま伝えた。


優衣に邪魔をされてしまった……そんな気持ちに一瞬だけなったけど、時計を見れば既に約束していた時刻で。

間が悪いのは、自分のせいだと反省する。

それに、優衣の嬉しそうな声を聞いたら、何だか安心した。


優衣が好きなのは、直大さんだから大丈夫……と。