いかがわしい本でも見てたら、からかわれる前にからかってやろうと思って。

……でも。

背後に立って、ひょいとつま先立ちで覗いてみると、

朝日が開いていたそれは、面白くないくらいに少年漫画だった。

しかも、サッカー漫画。
開かれたページには、ユニフォーム姿の男の子ばかりで、1コマだって女の子は描かれていない。


何だ……つまんないの。
ラブコメとかだったら、からかい甲斐もあるのに。

と、唇を尖らせた……その時。


「おい」

パタン!と、勢い良く本を閉じた音と、朝日の声。

肩をビクッと震わせ、あたしは後ろに立ったまま、咄嗟に顔だけを逸らした。


逃げたって仕方ないもん。

笑いたきゃ笑え、このやろうっ!


だんだんと顔に熱が帯びてくのを感じながら、今すぐにでも走り去ってしまいたい気持ちを、必死に堪える。

ビシビシと突き刺さる視線。だけど、


言葉は何も降ってこない。


……もう、何なのっ!?

さすがに我慢出来なくなって、顔を上げると、