少しむくれた表情を一変、何か企むような笑顔にする優衣。

上手く返されてしまったあたし。

そんなことを言われたら、急がない他ない。

「……分かったよ。じゃあ後からね!」

カバンを肩にかけ言うと、優衣はニコニコしながら手を振った。




あたしの足が真っ直ぐ向かう先は、自分の教室。

途中、窓から見たグラウンドは、オレンジ色と黒が混ざり合ったような色に染まっていて。人の姿もまばら。

既に部活が終わったことを、目で確認する。

そして、視点を窓に映る自分に合わせて、ちょんちょんと指で前髪を整えた。

……よし、完璧。

うん!と、力強く頷いて、また足を急がせる。


会いたい、会いたい、早く。
今すぐ会いたい。