分かってた。
優衣が誘えば、断らないこと。
分かってたから、優衣にここまでついて来てもらった。
いざとなったら、優衣の力を借りようと思ってたのはあたし。
……なのに。
悔しくてたまらない。
何で……って、思わずにはいられない。
あたしの誘いは、あんなに嫌がってたのに、何で優衣だとそんな簡単に受け入れるの。
歪んでしまいそうになる表情を必死に堪えて、
「やった」
あたしは無理矢理、笑顔を作った。
そこに、
「朝日ー、そろそろ帰ろーぜ」
空気を読んだのか、読んでいないのか、よく分からない明るい声がまた、乱入してきた。
「……おう」
カバンを持ち上げ、立ち上がる朝日。
中村くんがこっちを見ている気がしたけど、あたしは顔を動かせない。
だって、忠告通りすぎて。
「あ、プリンごちそうさまです」
「いえいえ」
中村くんと優衣の会話を、耳だけで聞く。



