こっちを向いて、恋をして。


後方の戸口から、真っ直ぐこっちに向かって歩いてくるその人は……

さっきグラウンドで目が合った、ゴールを決めたあの男子。


「わ、お前、めっちゃ美味そうなもん食ってんじゃん」

あっという間に近寄って、長い腕をぐるんと朝日の首に巻き付ける。

茶髪で少し不良っぽいその人は、

「一口ちょうだい」

「やだ」

朝日と軽く言葉を交わした後、ゆっくりとあたしに目を向けた。


やばっ!

フイッ。

咄嗟に顔を逸らしてしまったあたし。

「……」

当然、変な沈黙が流れる。


何やってんのバカ!
これじゃ朝日に、かえって変に思われるじゃない。

本末転倒だよ、もうー!!

心の中で「わーん!」と、泣き叫んだ……その時。


「あの、これ……良かったらどうぞ」

聞こえたその声は、今度こそ間違いなく、あたしを助けてくれるものだった。

「え……」

少し驚いた顔をする彼……と、朝日。

ふたりの目線の先には、はちみつプリンをひとつ、差し出した優衣。