「石丸くん、喜んでくれるといいね」
もはやお決まりとも言える優衣の言葉が、あたしにこれからのことを思い出させる。
「楽しみにしてる」と言われたプリンを持って、今週末遊びに誘わなきゃ……ならない。
大丈夫。プリンを使って絶対約束してやる!……って、ほんの1時間前までは意気込んでいた。
だけど、
「あの、優衣ぃ……」
子猫のような声を出し、隣でプリンを試食する優衣にすがりつく。
「朝日誘う時にさ、一緒に居てもらってもいい……?」
本当はどんなに言いづらくても、あたしひとりで誘うつもりだった。
このプリンは、“あたしが作ったんだ”と思わせたい見栄と、デートはあくまで、“あたしとの約束”にしたくて。
でも、さっきの出来事がどうしても気になる。
もしあの人が余計なことを言って、朝日の機嫌を損ねていたとしたら……あたしが約束を取り付けるのは、無理に等しいから。



