こっちを向いて、恋をして。


ワッ!と起こった歓声と、どよめき。

朝日がパスを繋いだボールは、鋭く飛んでゴールに入った。


「ナイスアシストだね、石丸くん」

「うんっ!」

優衣の言葉に、あたしはピョンと跳ねて頷く。


あたしに対する性格は最悪。

だけど、もしかしたら優衣のことがなくても、好きになっていたかもしれない……と、たまに思ってしまうのは、サッカーをしている姿がとてもカッコイイから。

最も、恋していなかったら、サッカー部の練習なんて、見ることもなかったんだろうけど。


朝日には内緒で時々、部活のない日だとか、こうして暇になった時とかに、練習を見に来ている。

上履きで動けるギリギリの、少し距離の離れた場所だから、気付く様子もない。

目が合って、ドキッとしたい、して欲しい。そんな気持ちもなくはないけど、とりあえずはこれで良い。

もし来ていることがバレたら、『邪魔しに来んな』って、怒られてしまいそうだし。

それに……。