「あー……はいはい」
何も分かっていないはずなのに、朝日は知ってるとばかりに、あたしの言葉を遮った。
絶対勘違いしてる。
あたしがバカだから、覚えてないとか思ってる。
「ちょっと!」
違うって、ちゃんと説明しようとした。
だけど、それ以上言葉にならなかった。
何故なら、
「プリン楽しみにしてる」
そう言って、朝日が微笑んだから……。
「そんなわけでね、全てはこのプリンにかかってると言っても、過言ではないの!」
弱火にかけた鍋。
きっちりとガラス蓋を閉め、蒸気で中の様子がよく見えないそれを、あたしは真剣な眼差しで見つめる。
中には、さっき濾したばかりのプリンの原液。
牛乳と、砂糖と玉子と、バニラエッセンス。それからはちみつを混ぜ合わせただけのサラッサラの液体が、蒸されて固まる予定。



