いや、あたしの記憶からすると、結構散らかしていたんですが……。
「ごめん、ありがとう……」
再びしゅんとして謝ると、「いいよ。それより」と言いながら、優衣は机の上にバッドを降ろした。
「綺麗に固まってたよ」
そう言って、微笑んだ彼女が目を向けたのは、ステンレスバッドの上。
あたしもその言葉と視線を追って、目を下ろして見ると、バッドの中にはハートと星型と、動物型のシリコン製氷器がひとつずつ。
中には白、黄色、紫の三色。
「あっ!出来てた!?」
自分の不甲斐なさに、落ち込んでいた気持ちはどこへやら。
飛び付くような勢いで、あたしはひとつの製氷器を手に取った。
そして、黄色の星型を押し出すと……じっくり眺めることもなく、口の中へ。
冷蔵庫の中で固まるのを待っていたそれは、ひんやりと冷たくて。
ぶにぶにとした感触。
噛むと、口いっぱいに広がったのは、甘酸っぱいオレンジ味。



