こっちを向いて、恋をして。


コト……。

ティーポットを机に置く音が、やけに響く。

そこから離れた指先は、桜模様のカップに触れて。

「あの……ね」

重たげな口を開く優衣の姿に、あたしはゴクッと息を飲む。


直大さんと上手くいってないって、一体何があったんだろう。

最近冷たいとか?
でも昨日、直大さんの方から電話かかって来てたし。会ってたし。

もしかして、浮気してるっぽい……とか?


ひとり想像する内容に、じんわりと手に汗をかく。

誠実そうな直大さんに限って、そんなことはない……と、思うけど。

思いつめた、優衣の顔。

もしかして、もしかして……本当に?


「優衣っ……」

我慢しきれず名前を呼んだ、その瞬間、


「キスとか全然してくれないのっ!」


勢い良く、優衣が言った。