思い出せるのは、ボウルや紙パックを、ぐちゃぐちゃに投げ出していた状態。

もしや……。

「優衣っ!」

「ん?何?」

立ち上がって名前を呼ぶと、一度姿を消したその人は、バッドを手にして現れた。


ピンク色のギンガムチェックのエプロンは、オレンジ色のあたしが付けているものとお揃い。

腰まで伸びた、サラサラの長い髪は、白いレースのシュシュで、ひとまとめに縛られている。

パッチリ二重に、スッと高い鼻。
羨ましいくらいに整った顔立ちの彼女は、岩崎 優衣(いわさき ゆい)。

幼稚園の頃からずっと一緒にいる、あたしの親友。


「もしかして机、片付けてくれた……?」

恐る恐る声をかける。すると優衣は、

「うん」

何てことのない顔をして、コクンと頷いた。

「何で起こしてくれなかったの!?」

「だって、すごく気持ち良さそうに寝てたから」

一歩、二歩、優衣はそのままあたしに近付いて、

「片付けるって言うほど、物なかったから大丈夫だよ」

と、笑った。