こっちを向いて、恋をして。



あたしはすぐに、教室を飛び出した。
真っ直ぐ向かった先は、優衣のクラス。

お昼と同様に、戸口から顔を出すと、待っていたかのように目が合って。

「ごめんね」

駆け寄ってきた優衣は、笑顔。

だけど、いつものふんわり包み込むような柔らかいものとは、少し違う。

あたしは「ううん」と、首を横に振りながら、

「あたしはいいけど……直大さんと会うんじゃなかったの?」

と、問いかけた。

朝から焼いたシフォンケーキは、直大さんに渡すため。
ふたりに元通りになってもらいたいあたしとしては、それを気にせずにはいられない。

あたしと話すより、そっちに行った方がいいんじゃないかとも思った。

だけど、

「あ……うん。会う会わないの前に、ひかりに話聞いてもらいたくて……」

遠慮がちに、そんなことを言われたら、聞いてあげないわけにはいかない。

っていうか純粋に、頼られていることが嬉しくなる。