こっちを向いて、恋をして。


だめ!絶対にダメ!
優衣と直大さんが上手くいってないなんて、もしも朝日に知られたら……。

少し考えただけでも、ゾッとする。


あたしの気持ちを知っていて、応援してくれている優衣だから、万が一のことがあったとしても、朝日と付き合う展開は考えにくい……だけど。

朝日の頭の中は、間違いなく優衣でいっぱいになってしまう。

あたしが入り込む隙間なんて、1ミリたりともない程に。


そんなの嫌だ。
絶対絶対、嫌だ。

だから、優衣の作ったシフォンケーキ、

『余ったら、石丸くんにも』

という好意的な発言に、

『あたし食べる!全部食べたい!』

慌ててあたしは、声を上げた。


別に、優衣が教室へ来るっていうわけではないけれど、何となく……嫌だった。

ふわふわのプレーンシフォンケーキは、まるで優衣。

柔らかくて、優しくて、何だかホッとする味で。

でも……優衣にしては珍しく、焦げてしまっている部分が少しあって。


何となく、朝日には渡したくないと思った。