こっちを向いて、恋をして。


笑い返しながらも、何とも言えない複雑な気持ちで、お弁当箱を開こうとしていると、

「で、何で今日はこっち来たの?」

一足早くお弁当を食べ始めていた友達が、あたしに訊ねてきた。

……そうだった。

優衣があまりにも“いつも通り”だったから、ちょこっとだけ忘れてた。

「朝、先に行ってって言われたから、何かあったのかと思って」

言いながら、優衣へと目を向ける。

そう。これを聞くために、優衣がちゃんと学校に来てるのを確認するために、来たんだった。


優衣はキョトン……と、した後に、

「あぁ、ごめん。これ作ってたんだ」

フッと苦笑して、カバンから淡いピンク色のタッパーを取り出した。


蓋が開かれるとそこには、

見るからにふわっふわの、カットされたシフォンケーキ。


「作ってた……って、朝から?」

「うん。バターとかお菓子作れる材料が、家に全然なくて……唯一作れたのがこれなんだけど」

「良かったら食後につまんで」と、微笑む優衣。