「……えへへ」
「何だよ?」
「朝日とこうしてお祭りに行けるなんて、夢みたいだなぁって」
「夢かもな。明日になったら全部消えてたりして」
「えっ、うそ!」
「嘘だよ」
「何でもかんでも本気にしすぎ」と、朝日が笑う。
でも……
夢みたいな今だから、いつか本当に消えてなくなっちゃうんじゃないかと、怖くなる。
「新学期になったら、またお菓子作るから食べてくれる?」
「焦げたのと甘すぎるの以外なら」
「え、甘いの良いじゃん。お祭り行ったら、りんご飴もあるし……あ!わたあめもあるね!」
「わたあめ?」
「ただの砂糖じゃん」と、顔をしかめる朝日に、
「ただの砂糖じゃないよ!」
と、あたしは頬を膨らます。
子どもの頃は、とても不思議だった。
どうしてあんなにふわふわで、甘いのか。