こっちを向いて、恋をして。


久しぶりに会ったっていうのに。
ふたりっきりのデートは初めてなのに。

「もう」

もういいよって、半分拗ねて歩き出そうとした時だった。


「……ほら」


あたしの前に差し出された手のひら。

え……これって。


考えが行きつくよりも先に、

「早く行かねーと時間なくなるぞ」

仏頂面で朝日が言った。


「あ……うん」

躊躇いながらも片手を差し出すと、ぎゅっと朝日の方から握ってくれた。


少し汗ばんだ朝日の手。

一歩先を行く彼をよく見てみれば、肩が大きく上下していて。

息を切らしてる……?


走って来てくれたのかなって思ったら、さっきまで考えていたことなんて、どうでもよくなった。