こっちを向いて、恋をして。


「はぁ……」と、人知れずため息を零した時。

あたしはふと、自分の手の中の、冷んやりとした感触に気が付いた。


「あっ、朝日これ!」

机の上にカバンを下ろす彼に、慌てて突き返す。

それは、さっき首筋にあてられたイチゴオレ。

いつの間にかあたしが、持ってしまっていた。


朝日は、顔も見ずにひと言。

「やるよ」

「えっ?」

「昨日のお礼」

お、お礼……?

言ってることの意味が分からなくて、固まっていると、

「昨日のグミ。忘れて帰るから、全部食った」

朝日は顔色ひとつ変えず、さらりとそう言った。


「えっと……」

頭の中を整理する。

つまり、このイチゴオレは……。


「昨日のグミのお礼……?」


「だから、そう言ってんじゃん。いらないなら返せ」

イチゴオレへと、向かってきた腕。

「わっ、いる!有難く受け取らせていただきますっ!」

あたしは両手を上に上げて、奪われるのを回避した。