「なっ、何? どうしたの?」

まるで心配するかのように、声をかけてくる大西。

「あっ、あのさっ……」

声を出そうとするけど、息が切れて続かない。

部活終わりに、結構な距離を全力疾走とか……。さすがにちょっと疲れた。


「もしかして、まずかった? もうお腹壊しちゃった?」

もう……って、何なんだよ。
下剤でも盛ったのか。

「っ、お前さぁ……」

思ったことをそのまま、つい言ってしまいそうになった。

だけど直前で、口を閉じる。

……違う。言いたいのは、こんなことじゃない。


真っ直ぐ向かい合った大西の顔を見ると、本当に味とか腹の心配をしているのか、瞳が揺れていて。

「っ……」

大西のくせにその表情、ちょっとずるい。


何でお前は、俺のこと嫌いになんないの?

朝、俺すっげー酷いことしたじゃん。
今日だけじゃない、今までもそうだったじゃん。

なのに何で……。

はちみつレモンなんか作って、メッセージなんか書いてきてんだよ……。