冷静に考えてみれば、あり得ない。
いくら本人の許しが出たとは言え、仮にもあいつは圭太の……親友の彼女で。
しかもあの、大西。
絶対に好きになることなんか、ないと思っていた相手。
今でもまだ信じられない。
自分の中に生まれた感情が、理解出来ない。
でも足は、迷うことなくあいつを追っていて。
会いたいと思う気持ちが確かに強く、自分の中に芽生えてた。
「……大西っ!」
まず、教室へと戻って。でもそこには、大西の姿も荷物も何もなくて。
急いで階段を駆け下りて、靴を履いて。
やっと見付けた、追いついたのは……校門を出ようとする、ギリギリの所。
「えっ……あ、朝日っ!?」
名前を呼ばれ、振り返った大西は、俺の顔を見るなり驚く。
そりゃあそうだ。
いきなり追いかけて来られて、すごいびっくりさせたと思う。