こっちを向いて、恋をして。


逆に何か吹っ切れた。

圭太は俺の気持ちなんか、とっくにお見通しらしい。

……なら。


「いいのかよ、そんな笑って」

「ん?」

「お前がそう言うんなら、もう遠慮しないけど」


いわゆる、宣戦布告。

圭太は一度、キョトンとして。
でも、すぐにフッと微笑んで。


「いいよ? 選ぶのは大西さんだし」

俺の手から、タッパーを取る。


あー……余裕ですか。

知らない間に、一体どれだけ距離を縮めたんだろう。

不敵に微笑む圭太の様子に、不安にならないと言ったら嘘になる。

でも、


「じゃあ、お言葉に甘えて」


俺は圭太にタッパーを預けて、走り出した。



「やれやれ……」

タッパーを見つめ、「世話が焼けるなぁ」と、静かに呟いた圭太の声は、俺には届かなかった。