こっちを向いて、恋をして。


「……ありがと」

何となく俺も笑みを浮かべながら、ひと言返す。

でも、言いたいことは、もっと他にもあるはずなのに、元々自分から話す性格ではないせいか、言葉が出て来ない。

すると、


「もしかしてさ、まだあん時のこと、引きずってんの?」

口を開いたのは、圭太の方で。

「……」

俺は思わず、口ごもる。

あの時がどの時なのか、言われなくても分かるのは、図星だから。


あの時……それは、中学2年生の春。

練習中、圭太の足元のボールを奪おうとして、圭太の足を引っかけてしまった。

もちろん、わざとじゃない。
偶然起こってしまった、事故。

だけど、痛みに歪んだ圭太の顔を、今でも忘れられない。

恐怖心から、思わず顔を逸らしてしまったことも。


幸い捻挫レベルで、今後サッカーが出来ないとか、最悪な事態になることはなかった。

だけど、その直後の試合には、もちろん出れなくて。

せっかく初めてレギュラーに選出されたというのに、圭太は……。