こっちを向いて、恋をして。



時刻は多分6時半頃。

やっと陽が沈みかけ、薄暗くなり始めたグラウンドで、圭太とボールを奪い合う。


約1分間、ボールをキープ出来た方が勝ちという、自らで考えたミニゲーム。


こうして圭太と競り合うのは、いつぶりだろう。

基本的にはいつも同じチームになるから久しぶりで。


圭太が持っているボール。

足を出して奪うことに、少し躊躇した。

だけど、


「っ……!」

「あっ!」

思いを、過去を振り切るように奪い取って。そのまま走り出す。

それをまた、追いかけてくる圭太。


手加減は……もうしない。




「あー、やっぱすごいわ」

お互い一瞬たりとも譲らず、奪い合って走って。

やっと時間ギリギリまでキープ出来たのは、俺の方だった。


圭太は地べたに腰を下ろして、大きく肩で呼吸をしながら、顔をくしゃくしゃにして笑う。

その表情は、昨日向けられていたものとは全く違って。


「やれば出来るじゃん。レギュラー入り、おめでと」

負けたというのに、とてもスッキリとした表情で言われた。