こっちを向いて、恋をして。




「……余計なことしなくていいから」

「はぁ」と、ハッキリ聞こえるため息をつかれ。
中村くんに言われたのは、更衣室からずっと離れた場所。


「ご、ごめんなさい……」

“余計なこと”

それは正にその通りで、反論する余地もない。

自分でも変なこと言っちゃったな……って、反省してる。


だけど、腕を掴まれた瞬間、中村くんの切ない気持ちが伝わってきたような気がして。

このまま朝日と離れちゃったら、何も解決出来ないような気がして。

気付いたら声に出してしまっていた。


あぁ……でもやっぱり、あたしが言うべきことじゃなかったかも。

ただのお節介だったかも。


呆れた様子の中村くんに、小さくなるばかりのあたし。

だけど、


「……でも、おかげでちょっとスッキリした」

「え?」

思いがけず降ってきた言葉に、顔を上げる。すると、

「大西さんが間違ってるって言ってくれて、スッキリした」

言いながら、中村くんは笑った。