こっちを向いて、恋をして。


「え……」

あたしを見て、目を丸くする中村くん。
朝日を掴んでいた腕の力は、するりと抜けたようで。

驚いた顔を朝日も、こっちに向ける。


「あのっ……」

思わず出てきてしまったものの、何と言ったらいいのか分からない。

えっと、えーっと……。

咄嗟に考えて、考えて出てきた言葉は、


「ココアムース、食べませんか?」


「「……」」


……ですよねー。

無言のふたりに対し、心の中で返事する。

自分でも『何言ってんの』ってツッコミたくなる。

空気を読んでいるようで読めてない、この発言。

だけど……


ふたりに喧嘩して欲しくなかった。

あたしは関係ないかもしれないけど、あたしは、あたしは……。


上手くまとまらないから、声に出せない気持ち。

胸の位置まで掲げた紙袋を持つ手に、ギュッと力が入る。

そんな時だった。