こっちを向いて、恋をして。


校内で一番厄介な先生の、歴史の授業は5限目。

だから朝日が呼び出されるのは、放課後だろうと勝手に予想していた。

……だけど、


優衣と昼食を済ませ、予鈴が鳴ってから教室へ戻ると、そこに朝日の姿はなくて。

こんな時間に珍しい。
どこ行ってるんだろう……。

なんて思いながら、空っぽになったお弁当の包みを、机の上に置いた。

その時だった。


「おっかえりー!」

室内に大きく響いた、男子の声。

言ったのは坊主頭のお調子者で、言われたのは……朝日。

「どうだった? どうだった!?」

好奇心を隠しきれないといった声に、

「返してもらった」

朝日はいいながら、ズボンのポケットからケータイを覗かせる。

「うっわ!つまんねー!俺、返してもらえないに賭けてたのに!」

「やった俺、500えーん」

「……おい」

沸き立つ男子達に、白い目をして呟く朝日。


良かった……
返してもらえたんだ。

と、ホッとしたのもつかの間。