こっちを向いて、恋をして。


後からごたごたするのが嫌だからって、それを素直に朝日に伝えた中村くん。

そしたら朝日は……


彼女からの告白を断った。


『何かさ、馬鹿にされてると思わねぇ?』

そう言って苦笑した中村くんの顔が、目に焼き付いてる。

『中学ん時のキャプテンもそう。明らか朝日の方が上手いのに、いつの間にか俺に譲られてんの』

『誰もんなこと頼んでねーよ』と、中村くんは続けて。

その、苦しそうで悔しそうな、何とも言えない表情に、胸が苦しくなった。



ゆっくりと歩いて行って、自分の机の椅子を引く。

その瞬間、朝日がこっちを見たような気がしたけど、何となく目を合わせないように、知らないふりをした。


中村くんの気持ち、分かる気がする。

朝日には悪気なんかなくて、むしろ逆に中村くんのことを大切に思ってるからこそ、自分のことを蔑ろにしちゃうんだと思う。

でもそれは……優しさじゃないよ。