『ひかりのそういうところ、好きだよ』

優しい優衣の声が響いて、思っていたことが伝わった気がして、嬉しくなる。


まだ子どもだったあたし達は、あの一件からすぐ親友に戻った。

一緒にいれば、親とか先生とか周りに比べられることも多かったけど、不思議と気にならなくなっていた。

だって、あたしの良い所を優衣が見つけてくれるから。


『ごめん』『いいよ』なんて、直接的な言葉を交わしたわけじゃない。

それでも自然と仲直り出来ていた、あの頃。

今だったらどうかな……。

今だったらもっと遠回りをしなきゃ、仲直り出来なかったかもしれない。


お互いが深く、難しく考えすぎて。

意地とか見栄とか余計な感情が邪魔をして、なかなか素直になれなかったと思う。


たぶん……中村くんも。

変な意地が、きっと邪魔をしてる。


「……面倒だね。大人って」

見えない他人の感情に、あたしは小さくため息をついた。


……それでも。