『それでいいの? 石丸くんのこと、今も好きなんでしょ?』

「う、ん……」

途端になくなる勢い。

出来れば、中村くんを説得して、朝日のことを嫌いだっていうのを何とかして、この関係を解消させたかった。

本当は、自分の恋愛感情のことだけ考えれば、今すぐでもそうしたい。

だけど……。


「このまま放っておけないから……」


口ではあんなこと言ってたけど、本当はやっぱり朝日のことを嫌いではないと思う。

試合中、一瞬だけ曇った中村くんの表情は、朝日を憎んでいる……というよりも、とても悲しそうで苦しそうだったから。

それに気付いておきながら、一方的にバイバイなんて出来ない。

思いつめて、朝日に何かとんでもないことをしたら嫌だし。それに、


中村くんのこと……嫌いじゃないから。


例えあたしを利用するためだったとしても、優しくしてくれて、助けられた部分があるのは事実。

今日も、あたしの作ったお菓子を美味しいって言ってくれて、嬉しかった。

だから……。