こっちを向いて、恋をして。


「は……」

片手にカップケーキを持ったまま、ポカンと口を開ける中村くん。

その様子に一度苦笑してから、あたしは喋り出した。


「優衣と友達になったのは、たぶん幼稚園に通ってる頃だったんだけどね……」

子どもだったから、深いことなんて何も考えずに仲良くなってて。

「小学校に上がってから……勉強とか色んなことを、自分の親にね、比べられるようになって」

何でも出来る優等生の優衣と、
何をやっても失敗ばかりのあたし。

「優衣は褒められるばっかりなんだけど、あたしは怒られることの方が多くて……」

自分が怒られるのは、優衣のせい。

だから、

「優衣のことが嫌いって、そう思ってた時期があったんだ……」

子どもながらに苦しかった、あの頃。

何でも出来る友達を持つとこうなんだって、ちょっと曲がった考え方もした。

「それでね、優衣のことわざと避けてたたりしたの。その時……それ、うちに持ってきてくれたんだ」