こっちを向いて、恋をして。



「あの……さ、優衣……彼氏いるよ」

たまたま、ふたりきりになった放課後。

優衣はあたしの、大切な親友。
このまま黙って、放っておくことなんか出来なくて、重い口を彼に向かって開いた。

こんなにも緊張したことって、今までにない。言った後の心臓は、すごくバクバクしていた。

それなのに、

「うん、知ってる」

あっさりと、顔も向けずに返された返事。

知ってる……?
知ってるって、それならっ……!

「じゃあっ、優衣のことジロジロ見るのやめてよっ!!」

カッとなって、つい怒鳴ってしまった。
思ったよりも響いた声に、自分でも少しびっくりする。

でも、あたしは間違っていない。
このまま優衣のストーカーにでもなられてしまったら、困るから。


ゆっくりとこっちを向く顔。

ゴクッと唾を飲んで、彼を睨みつける準備をする。

さぁ、どこからでもかかってこい!って、戦う覚悟で身構えた……のに、


「……ごめん」


彼の口から出た言葉は、予想の反対。