こっちを向いて、恋をして。


それは、鮮やかなオレンジ色。

言葉にしてみれば、単純に果物のオレンジが浮かぶかもしれないけど、違う。

サーモンピンクって言った方が近いかもしれない、普通ではないその色は……


「にんじん」

「……え?」

「にんじんが入ってるの」

「へっ!?」

あたしが正体をバラすと、中村くんは目を真ん丸にした。

その反応……。

「ふ、ははっ」

あたしは思わず笑う。

「にんじんが入ってるとか、普通思わないよね。あたしも初め、びっくりした」

中村くんの反応は、幼かった頃のあたしと同じ。

意味が分からないといった顔をする中村くんに、静かに口を開く。


「それね……子どもの頃に、優衣が初めて作ってくれたお菓子なんだ」


いつだったかな……。
小学校に上がったばかりの頃だったかな。

今でも何となく覚えてる、あの頃抱いていた気持ち。


「あたし……中村くんの気持ち、分からないと思ってたけど、分かるよ。あたしも優衣のこと、嫌いだった」