こっちを向いて、恋をして。



「そっか。今日木曜だもんね」

すぐ傍にあった公園のベンチに腰掛けて、中村くんが紙袋から中身を取り出す。

確かに今日は木曜日で、調理部の活動もあった……けども。

「それ、部活で作ったものじゃないんだ。昨日優衣と作ったやつで……」

「へ?」

「あっ、いいから!とりあえず開けてみて」

一度、手を止めようとした中村くん。

少し不思議そうな顔をするけど、

「あっ、カップケーキじゃん!」

中から取り出したものを見て、声を弾ませてくれた。

「食っていい!?」

「うん……って」

返事をする前から、もうカップをピリピリと破いてる。

そして、あっという間に中村くんは、それにかぶりついて……。


ドクンッ……って、鼓動が跳ねる。

自分の作ったものを人に食べてもらうのって、いつも緊張する。

だけど、今日は特に怖かった。

何故なら……。


「美味い!……けど」

口をもごもごさせながら、食べかけのカップケーキを見つめる中村くん。

断面をこっちに見せるようにして、

「これ、何入ってんの?」

聞いてきた。