こっちを向いて、恋をして。




「おつかれさま」

「……」

サッカー部の練習が終わって、あたしは玄関で中村くんを捕まえた。

まさかあたしの方から声をかけて来るとは思っていなかった……と、いったところか。

中村くんは少し驚いた様子で、目を丸くする。

そこに更に、

「今日一緒に帰れる?」

あたしが声をかけると、「もちろん」と、笑顔を浮かべて頷いた。



本当は一緒に帰るつもりまではなかった。

だけど、急遽そうすることにしたのは、学校だと朝日に見られたり、聞かれる可能性があったから。


肩に鞄をかけて、手にはずっと持ってる水玉の紙袋。

これ、いつ渡そう……なんて、頭の中で考えていると、

「今日、どっか寄る?」

中村くんの方から聞いてきた。

「あっ、うん!」

待ってましたとばかりに頷くあたし。

「じゃあ、マック……」

「待って!」

あたし達の間で、定番化しつつある場所へと向かおうとした中村くんを、シャツを掴んで引き止める。


「そこの公園でいい!そこの! 今日は……食べるものあるから」

キョトンとする中村くんの目の前に、紙袋を差し出した。