こっちを向いて、恋をして。


ふたりの息は、ピッタリ合っていた。

中村くんの立っていた位置も、朝日のパスのタイミングも、完璧だった。


ゴールが決まったことにより、一旦和らぐコートの空気。

朝日と中村くんは、どちらからともなく近寄って。
作戦なのか何なのか、ひと言ふた言、言葉を交わす。

そして……

朝日は中村くんの肩を、ポンと叩いて頷いた。

それに対して、中村くんも笑顔で頷く。


そんなんで、嫌いとかないよ……。

全然嫌っているようには見えない。

でも……。


「っ……!」

少し離れた場所とは言え、じっと見つめすぎたかもしれない。

中村くんは、突然顔を上げて。
こっちに目を向けたから……慌てて植木の影に隠れた。


バレてないかな……。

ヒヤヒヤしながら、再び顔をそっと出すと、中村くんはもう走り出していた。

良かった……と、胸を撫で下ろす。


でも、見てしまった。

朝日に笑顔を向けた中村くんの表情が、曇る瞬間。