こっちを向いて、恋をして。



調理室へと向かう優衣に手を振って。

ひとり、ふたり、またひとりと、教室からクラスメイトが出て行って。

しばらくしてからあたしも、自分の席から立ち上がった。

片手には、水玉模様の小さな紙袋。

向かった先は……グラウンド。


たまに優衣と一緒にサッカー部を覗く、いつもの場所に密かに立つ。

中村くんには一度見つかっちゃってるから、気付かれないように注意しなきゃいけない。

……今日は特に。


植木の影からそっと顔を出すと、既に本格的な練習……試合が始まっていた。

今日、あたしが部活を休んだのは、これが見たかったから。

部活に出て、途中で抜け出すことも出来たかもしれないけど、出来ないかもしれないから……。


たったひとつのボールを追いかけ、走ってゆく男子達。

よく目立つのは、やっぱり3年生……って感じで。

でもその中に、ちらほら混じった2年生。

目につくのは、朝日と中村くん。