こっちを向いて、恋をして。



「本当にいいの? 終わるの待っても大丈夫だよ?」

心配そうに声をかけるのは、優衣。

「ううん、今日はいいの! 先に帰るって言ってあるし!」

「早く帰ろ!」と、あたしは優衣の手を引く。


あれから、特に何事もなく放課後。

優衣が「待たないの?」って言ってるのは、中村くんのこと。

何だかんだで、今もあたし達は“付き合っている”状況で、事情を詳しく知らない優衣は、気を遣って言ってくれた。

昨日までなら、『じゃあちょっと待とうかな』って、思ってるかもしれない。

だけど、今日は絶対待たない。

待って、会ってしまったら、中村くんの思い通りな気がするから……。



どうやったら、中村くんの気持ちを変えることが出来る?

傷つけたいとかっていうのを、止めることが出来る?

頭の中で、ぐるぐるとそればかりを考えていて……。


「……ひかり?」

隣からかけられた声にビクッとして、「えっ」と声を発する。