こっちを向いて、恋をして。


好きって言って、軽くあしらわれてしまうのも辛いけど、

好きなのに、その気持ちを伝えられないのも苦しい。


本当は今すぐにでも、『やっぱり諦められないよ!』って、伝えてしまいたい。

でも、それが出来ないのは……。



「……ね、朝日」

ホームルームが終わって。
意を決して、自分から話しかけてみた。

さっき、朝日から喋ってくれたから。
大丈夫、言える。

「朝日は……その、中村くんと友達だよね?」

「……は?」

「やっ、ううんっ!何でもない!」

聞きたかったことを確認すると、あたしは逃げるように顔を逸らした。

心なしか、ちょっとだけ不機嫌になられた気がして、少し焦る。

だけど、その返事は友達ってことだ。

あたしだって、自分をよく知る人に『優衣と友達?』なんて、改まって聞かれたら、『は?』って言っちゃいそうだから。


朝日は何も疑わず、中村くんを友達だと思ってる。

傷付けてやりたいって、そんな風に思われてるとも知らずに。


「……」

自然と手に力が入る。

昨日、朝日が助けてくれたから。今度はあたしが何とかしなきゃって、そう思った。