こっちを向いて、恋をして。


優衣は直大さんと付き合い出してからも、あたしに元気がないとデートを蹴って側に居てくれたり、優しくしてくれる。
蔑ろにされたことなんて、一度もない。

だから、あたしもそういうことはしないって、決めてる。


……そんな心の中が、さすがに見えたわけじゃないと思うけど、


「ふーん……大西さんは本当に仲良いんだ?」

少し意外そうに中村くんは言って、

「まぁそれが普通か」

何か納得した様子で、「うん」と自ら頷いた。



あたしが優衣と仲良いとか、当たり前。

身近な人ならみんな知ってるし、中村くんも当然分かってると思ってた。

それなのに、『本当に中良いんだ?』って、どういうこと……?

まさか、あたしも中村くんみたいに、友達である優衣を、心の底では嫌ってると思ってたってこと?

……あっ、そういうこと?


中村くんと別れ、教室へ戻ろうとしていた足を、思わず止める。

そして勢いよく振り返ってみる……けど、彼の姿は既になかった。