こっちを向いて、恋をして。




「どういうつもり?」

「ん?」

「特に楽しいことなんて、なかったと思うんだけど」

廊下の隅。
両腕を組んで、鋭い目つきで言う。

すると、

「そうだったっけ?」

「そうだよ!」

とぼけたフリをされるから、言い返す声も自然と大きくなる。


朝日の前で楽しかったとか、今日も一緒に帰ろうだとか。

あんなことを言われたら、どんな顔して朝日と会えばいいのか、ますます分からなくなる。

それに……。


「あたしと仲良くしてるの見せつけたって、何とも思われないよ」

中村くんの……狙い。

気付いてますとばかりに、小声で指摘してみると、

「それはどうかな……。じゃあ聞くけど、どうして大西さんがそんなに焦ってんの?」

にっこりと笑顔で訊いてきた。


「それはっ……」


あたしがまだ、朝日のことを――。

……なんて、こんな所で言えない。


あたしの気持ち、分かってるくせにと、
無言で睨みつける。

すると、中村くんはフッと苦笑して。