こっちを向いて、恋をして。


一向に静まってくれない、胸のドキドキ。

箱の中に押し込んで蓋をした気持ちが、隙間から溢れ出してる……そんな感じ。


だめ……だめ、ダメだよ。
もう決めたんだから。

あたしは――。


言い聞かせるように念じて、ぎゅっと目を瞑った時だった。

ポケットの中で、ブルブルと震え出したケータイ。

少し考えれば、違うことは分かるのに、ダメだって思う側から期待していた。


だけど、


恐る恐る取り出した、ケータイの画面に表示された名前は、


「中村くん……」