こっちを向いて、恋をして。


「あ、うん。これ……なんだけど」

大西は紙袋を手に取ると、

「はい」

両手で俺の前に差し出した。

「え……」

何でって、言わんばかりの顔をする。

だって、大西が俺にくれるような理由は、もうないはずで。

すると、

「さっき、ちゃんと言えなかったから。ほら……みんなに囲まれちゃって」

少し困った顔をする大西が言っているのは、5限目の終わり。俺が教室に戻ってきたときのこと。

囲まれたのは、余計なことを俺が口にしたからで。

勝手に話してしまったことについては、怒られてもしょうがない……と、思っていたのに。


「あたしのせいで、本当にごめん。迷惑かけないって、昨日言ったばっかなのに、ものすごい迷惑かけちゃって……」


大西の声は震えて。
そのまましんと、静まり返る。


「……」

泣きそうな声で、謝られてるっていうのに、何も言えない。

それどころか、今考えてしまっていることは少しおかしくて……自分でも動揺してる。